
The Film mate
「TENET」エントロピーを勉強しよう!!
更新日:2020年9月29日
TENET
前から読んでも、後ろから読んでも TENET
だからどうした?
というコメントがきそうですが、この映画を身終えると、この細工の意味を理解できるでしょう。
映画を見る前に入れておくべき知識
物理法則では時間の向きを区別しない
つまり、数式上では未来も過去も関係ないということだ。
は?
ということで簡単な例を考えましょう!
例えば、僕が弟に向かって野球ボールを投げるとします。僕の手から孤を描いて、弟のグローブの中に入るまでを。

そのボールの軌道のみをカメラで録画して再生、逆再生したときを想像してみてください。
ボールの軌道のみです。

するとどうでしょうか。皆さんはボールだけをみて再生と逆再生の区別は付きますか?
つかないですよね。
そうなんです。
これが物理法則では時間の向きは気にしないということなんです。
なんかふに落ちないですよねー?!
じゃあ、コップに入ったお湯に一滴の墨汁を垂らすシーンを思い浮かべましょう。
透明のコップに黒い墨汁が垂れると色は変化しますよね。

物理法則は時間の向きに縛られないのだから、
墨汁を垂らした後と垂らす前のコップでは時間の区別はつかないってことジャないの??
おかしいですよね。
そこである概念が登場します。
エントロピー
劇中の台詞でも出てくる【エントロピー】
いったいこれはなんなのか?
まず一言で答えると
エントロピーとは「乱雑さの度合い」のことです。
エントロピーという言葉は物理学の言葉で一つの意味で表すのが不可能な概念らしいのですが、TENETを理解するためにはこの解釈で十分です。
度合いと言われてもピンと来ないと思うので例をあげます。
例えば、先ほどあげたコップの例で話すと
墨汁がお湯の中に広がる確率 と 墨汁が一箇所に戻る確率
では圧倒的に前者の方が確率が高いですよね、言い方を変えると乱雑度の度合いが大きいといえます。
つまり、
一点に集まっている墨汁を、お湯に垂らして広がっている様子は、エントロピーが増大しているということです。

逆に言うと、エントロピーが減少すればそれは時間が逆行していると言うことになります。
物理学の法則では数式上、乱雑さの度合いを区別しませんが、私たちは経験上あまりに確率の低い話は起こり得ないと学習して判断しますね。
なので、物理学上では墨汁が広がるのも、墨汁が一点に集まるのも数式上は区別はしていませんが
確率で言うと明らかに前者の方が大きいので、私たちはそれを受け入れていると言う話なのです。
これがキャッチボールの例との違いになります。
反粒子
私たちの世界は小さい「粒子」と呼ばれるものでできている。スクリーンもパソコンも椅子も小さいこの「粒子」と呼ばれるもので構成されており、この粒子は2種類存在し、+と➖で対になっている。
プラスの粒子に対してマイナスの粒子を、「反粒子」とよびます。
物理学ではこの粒子に対する運動方程式も存在します。それをラディックス方程式とよ日ますが重要なのはこの方程式では、
「過去から未来に進む陽電子」と「未来から過去に進む電子」を同一視している。
と言うことです。
つまり
粒子は「過去から未来に進む」普通の粒子であり、反粒子とは数学的に「未来から過去に進む」粒子である
という解釈ができると言うことになります。
エントロピーと反粒子
この2つはセリフの中でも登場しますし時間の逆行を説明するために不可欠な単語でしたので今回は解説させていただきました。
「時間の逆行」
なぜノーランはこれを映画に起用したのか。
それは理論的には時間の逆行は起こり得るからです。単なるファンタジーではなくしっかりと科学的な根拠に基づいて辻褄が合うように作られたストーリー。
タイムトラベルでも時間停止でもなく時間の逆行による物語。
この内容たちを頭に入れても一回で理解するには何回すぎるストーリーなので2回観賞をお勧めします。
そして2回目の鑑賞前にもう一度この概念を頭に入れてもらえると少し理解に近づけるのではと思っております。
難解でわかりづらい内容もこの2点を頭に入れてスクリーンに臨めばもっと楽しめるはず!!